境界確定測量ってどんな時に必要?
2023/07/26
②境界確定測量って何?2
〈続き〉では、売買以外で確定測量を依頼されるケースとしては他にどのような場合があるのでしょうか?
お隣から、「うちの敷地にお宅の石積が入り込んでいる」「隣の人の物置が自分の敷地側に設置されている気がする」など、境界線について杭などの境界標でしっかり明示されていない、ブロック積などで区画されていないなど、代々の言い伝えなどでしか決まっていない場合で、いつの間にか自分の認識と相手の認識が食い違っている場合などに、それを明確にしておきたいという希望で依頼されることがあります。
最近では、世間でも「終活」という言葉が良く使われるようになりました。昭和22年5月2日までの家督相続制度下では家を継続することが目的であり、家を継ぐ者が不動産を含め財産をすべて相続する代わりに家を存続させる責任を負っていました。また、戦時下での食糧難なども理由となり、この頃の様子を知る方は、食料を自分で生産することができる農地や、煮炊きの燃料となる薪や建築資材となる木が取れる山林を大事に管理していたことから、土地に対する思い入れも強くその思いに比例するように管理も丁寧にされていました。
しかし高度成長期を経て、食料も自分で生産するよりも買うもの、煮炊きもガスや電気の普及に伴い薪を用いなくなったこと、海外の安い木材を輸入して建築するようになったことから用材林の需要が減少したことに加え、進学・就職を機に生まれ育った土地から離れることが多くなった現在では、相続により実家は空き家となり、土地の管理も年に数回程度、それも自宅周りの草刈り等だけとなり農地や山林は放棄されたまま、ということが珍しくありません。
現在終活を考えてみえる方々は、土地を大事に管理してきたご先祖様の姿を目にしてきているせいか、これらの財産を次世代に責任を持って引き継ぎたいと考えている方が多くみえます。しかし、先代からもしっかりと土地の境界を聞いたわけでもない、子供の頃は一緒に山に入っていたがもうしばらく行っていないためどこが境なのかわからない。自分の目が黒いうちに、境界をはっきりさせて次世代が困らないようにしておきたい、と測量の相談をされることがあります。
最初に紹介した売買の際に境界確定測量を行うというのは実利のために行うものですが、境界紛争の予防・相続対策のために行いたいという方も次第に増加している印象です。しかし、売買の際は最近では確定測量が必須要件となっている場合がほとんどであり、加えて売買代金で測量費用を賄えることから費用に対する心配はありません。また、宅地等は普段の生活に密着したものであることから管理もしっかりとされており、境界確定測量についても比較的短期間で予定通り終わることが多いです。一方の境界紛争の予防・相続対策のための測量は、元々境界について争いがあることや管理が適切にされていない土地であったりすることから、時間も費用も多くなる傾向にあります。また、依頼主からのヒアリングや調査も慎重に丁寧に行う必要もあります。先ずは、どのような目的で行うのかをお聞かせいただき、見積りにて費用をご確認いただき、目的と費用のバランスが取れているのかを考慮の上、実際に行うべきか否かご検討いただければと思います。この場合は、「実利」よりも「安心」という商品をご購入いただくと考えていただいたほうが適当かも知れません。