文系出身ですが
2023/03/10
今回は、そろそろ大学生の方も就職活動を始めている頃かと思うので、土地家屋調査士なんてどうですか?というアピールを兼ねて。
土地家屋調査士という仕事をそもそも知らないかも知れないけど、街中でカメラみたいなのをのぞき込む人と棒を持った人が二人一組で作業をしている光景を見かけた記憶はありませんか?その仕事です。
道端で作業をしていると、「道路をきれいにしてくれるの?」と聞かれること多々ですが、私たちは土地の売買に先立ち宅地や農地などの土地の境界を明示するため、広い土地の一角に息子さんの家を建てるために土地を分割する登記をするためなどの測量をしています。同じような作業をしていますが、測量屋さんとは少し趣が異なります。
さて、測量と聞くと文系・理系どちらを思い浮かべるでしょうか?ほとんどの方は「そりゃ理系でしょ?」と思われるでしょう。確かに距離と角度から計算をして位置を求めてそのデータからCADを使って図面を作って、という作業なので理系よりであることは確かです。ただ、土地家屋調査士の最終の目的は、登記を完了すること、売買する際に安心できる物件を引き渡しするために境界の専門家として正確性を担保する事、となります。測量はそのためのデータ収集の過程の一つで、実際には法務局や市役所などに保管されている資料との比較検証、関係地権者様との境界立会確認、法務局との登記相談などいろいろな作業があります。
測量の工程はある程度規則性があり、繰り返し行うことで技術も上がり正確に一定の結果を継続的に出すことはできるようになります。ただ、関係地権者様との交渉に関しては毎回違う方と行うことになり、その人となりに合わせて柔軟な対応が必要となります。また、場所が変われば資料の多少や精度の違いがあり、それらの傾向を測量データと書面資料と照合し分析が必要になります。登記の履歴から、その土地がどのように変遷してきたのか、その過程で誤りがあったことが現地と図面が合わない理由なのではないか、といった「仮説を立てる」→「検証」→「仮説を修正する」→「再度検証」が必要です。
正確なデータ収集(測量作業)は当然の前提として、その後の「資料を読み解く力」「対人折衝能力」が仕事の成否に大きな影響を及ぼしてくるのです。なので、前に所属していた事務所では、後輩に対し「土地家屋調査士は技術者でありサービス業だ」と教えてきました。〈つづく〉