文系出身ですが2
2023/03/26
〈その1から続く〉
つまるところ、現場にてデータを取得してくる「測量」や資料検討の工程は最終的にお客様や関係地権者との交渉を行うためのツールの一つであり、何度も境界確認を行ったり不調に終わったりで、目的とする成果を納品できないということを防ぐための準備です。良い説明をして境界確認を成功させることこそが土地家屋調査士の良否の判断となります。
言い換えれば、「境界立会」にこの仕事のすべてが凝縮されています。このゴールに向けての準備は最初に着手するときから始まっています。最初の挨拶で関係者から不審な目で見られてしまうとだいたい余分に時間がかかります。逆に、名刺を渡す際に雑談などが弾んだ場合などは、「あぁ、30分も話が続いたよ、早く測量したいのに」とその時は思っても、途中の作業時や立会確認時にはスムーズに進むことが多く、結果として早く業務が終わったりします。
だいぶタイトルの内容からはズレてしまいましたが、本題に戻ります。自分は文系大学の出身で学部は文学部史学課東洋史専攻です。歴史と言うと遺跡発掘などを思い浮かべる方が多いかと思いますがそちらは考古学です。自分の場合は歴史学なので、文献などを基に歴史的な検証をしていきます。井上靖の「敦煌」に衝撃を受け、史実の切れ端を基にこんな壮大な物語を書き上げることができたならどんなに楽しいだろう!と思ったことがきっかけです。しかし勉強を進めるにつれ小説と歴史学は別物だと思い知らされることになりました。当時の担当教授からは「お前の歴史は歴史学じゃない。ファンタジーだ」と一喝されたこともあります。
後に振り替えると、卒業論文は自分の大学における学業のすべてでした。
・研究のタイトルを決めて大まかなストーリーを立てる。
・その内容に関する文献を収集する。(今のようにインターネットも普及しおらず、大学の図書館経由で全国の大学等の書籍を取り寄せる作業で費用も時間もかなりかかりました)
・写真等の資料から現物を確認する(カンボジアに関するものだったので現地は行けなかった)
・それらの資料を検証し、裏付けを明確にし自論が破綻しないようにストーリーを修正する。
・これらの工程を追加・補正を繰り返し完成。
途中で新しく取り寄せた資料を検証した結果、自論が破綻して途方に暮れたこともありました。この辺りでようやくさっき書いた教授の言葉の意味が分かり始めた気がします。〈つづく〉